行政書士試験に234点で合格した元サラリーマンの勉強法と実務

平成25年、サラリーマンだった当時に234点で行政書士試験に合格した際の「勉強法」と、その後独立開業から実務の経歴までを忘備録も兼ねて書き留めているブログです。現在、行政書士試験の合格を目指している方、また、合格後に開業を考えておられる方にとって、私の体験が少しでも励みになればと思います。

行政書士試験に限らず、資格試験全般に使える勉強法と思います。是非お役立てください。

学習の進め方 憲法

憲法と判例

ご存知の通り、憲法の条文は100条ほどです。
たったこれだけの条文に、国家の指針を示すわけですから、個々の条文が「抽象的」な内容になるのは致し方ありませんね。

そこで、重要になるのが「学説」だったり「判例」であったりします。これらが、問題が生じた際には、「憲法条文ではこのように解釈される」と補足説明してくれているわけです。

ただ、行政書士試験では、「学説」を取り扱った出題はあまり多くはありませんので、必然的に判例の学習が中心になります。(基本テキストもそのように作られています)

憲法の「第21条1項」を例に挙げ、説明してみます。条文は以下の通り。
1.集会.結社及び言論の自由、出版その他一切の表現の自由は、これを補償する。

「表現の自由」を保障している条文ですが、表現の自由とは〇〇と〇〇と・・・などと具体的に定義されているわけではありませんので、「集会、結社及び言論の自由、出版その他一切の表現の自由」が具体的になんであるのかは、解釈の問題となります。

そこで憲法が施行されて以来、この「表現の自由」を巡って、様々な権利が主張されてきました。
下記はその一部です。

・知る権利・・・博多駅テレビフィルム事件(S44.11.26 最判)
・アクセス権・・・サンケイ新聞事件(S62.4.24 最判)
・報道の自由・・・博多駅テレビフィルム事件(S44.11.26 最判)
・取材の自由・・・西山記者事件(S53.5.31 最決)

ただ、行政書士試験において、重要なのは判決ではありません。どちらが勝った負けたではなく、その事件において、最高裁判所がどのような権利を「表現の自由」として保障し、または尊重し、どのような制約を受けると判断したのかが重要なわけです。

最高裁は、博多駅テレビフィルム事件で「報道の自由」と「取材の自由」について以下のような解釈を示しました。
①「報道の自由」は21条で保障される
②「取材の自由」も十分尊重される。
③「取材の自由」に関しては、公正な裁判を実現するというような、憲法上の要請がある場合は、一定
の制約は受ける


この点をしっかり理解すると、点数が取れます。

そして、この問題がどのように問われるかを、過去問で確認します。

2013年試験 問7 肢1
報道機関の取材の自由は憲法21条1項の規定の保障の下にあることはいうまでもないが、この自由は他の国民一般にも平等に保障されるものであり、司法記者クラブ所属の報道機関の記者に対してのみ法廷内でのメモ採取を許可することが許されるかは、それが表現の自由に関わることに鑑みても、法の下の平等との関係で慎重な審査を必要とする。

いかがでしょうか?
この問題の場合、憲法21条1項で保障されているとされたのは、「報道の自由」であり、取材の自由は保障されていないので、間違いということになります。

このように判旨を十分に理解し、それから予想問題であったり、市販の問題集でやりこむことをお勧めします。ちなみに、司法試験短答式や予備試験の問題は、若干傾向がちがいますので、あまりお勧めしません。(私はやりましたが…)

注意:憲法判例は記述で問われることはないので、判旨の確認と問題集を繰り返す程度に、「覚えて」おけば大丈夫です。深入りして、暗記することは避けてください。

むしろ、暗記が必要なのは、「統治」分野の条文です。こちらは、しっかりと覚えることが重要です。

私がおススメする憲法の問題集はこちら!

憲法の出題分析と勉強法(人権)

行政書士・FPみらい法務事務所の佐藤です。
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例年通りであれば、憲法は5肢択一式が5問、多肢選択式が1問出題されます。
点数にすると、28点(全体の9.3%)です。
この数字だけ見ると、さほど重要でない気もしますが、「憲法」は日本の最高法規です。従って憲法に反する法律や条令、規則などは制定することができません。そういった意味でも、憲法の判例や各条文の解釈は非常に重要になります。

ここで、直近の行政書士試験における憲法の出題傾向を見ていきましょう。

〇2019年試験
人権:3問
統治:3問

〇2018年試験
人権:4問
統治:2問

「人権」については、判例中心の問題となります。
ちなみに19年の「人権」で問われたのは、以下の通りです。
問4・・・法の下の平等
問5・・・参政権
問6・・・精神的自由

「人権」の出題は、違憲を争った判例の問題がほとんどです。当然、判例中心の勉強することになりますが、間違ってはいけないのが、過去問集を中心に勉強を進めることです。

以前、『過去問は解かないで分析するもの』と書きました。なぜなら、過去と同じ出題形式で同じ問題が出題されることがほとんど無いからです。

それは、過去の出題例から見てもよく分かります。過去10年で2回以上、本試験問題に採用された「人権」の判例は以下の通り。
  • マクリーン事件(H14問4)(H15問3)(H17問3)
  • 百里基地訴訟(H18問3)(H13問4)(H15問5)
  • 国籍法3条1項違憲判決(H18問6)(H13問3)(H19問4)
  • 非嫡子に対する相続分差別(H16問7)(H19問4)
  • 再婚禁止期間違憲訴訟(H16問7)(H19問4)
  • 税関検査事件(H10問3)(H11問5)
  • 第一次家永教科書事件(H10問3)(H19問6)
  • 成田新法事件(H16問42)(H19問6)
  • 在外邦人選挙権はく奪違憲確認等請求事件(H11問4)(H19問5)
  • 旭川学テ事件(H12問41)(H19問6)
いかがでしょうか・・・少ないですよね?
恐らく、20年分となるともっと増えると思いますが、それでも少ない。
これが「過去問を解くな」といった1つの理由です。

とはいえ、まったく過去問通りの問題が出ないかというと、そうではありません。
もちろん出題例はあります。

2019年問題4 肢4
厳密に父性の推定が重複することを回避するための期間(100 日)を超えて女性の再婚を禁止する民法の規定は、婚姻および家族に関する事項について国会に認め られる合理的な立法裁量の範囲を超え、憲法に違反するに至った

『非嫡子法定相続分違憲判決/最大決平 25.9.4』に関する出題です。

実はこの問題、2016年にほとんど同じ形式で出題されております。

2016年問題7 肢5
父性の推定の重複を回避し父子関係をめぐる紛争を未然に防止するために、女性にのみ100 日を超える再婚禁止期間を設けることは、立法目的との関係で合理性を 欠き、憲法に違反する

これパターンの出題だと、過去問集をしっかりやっていれば簡単に回答できそうですよね。
しかし、このようなことはごく。多くは、同じ判例の問題でも、違った形式で出題されるものがほとんどです。

以下は、『国籍法3条1項違憲判決/最大判平 20.6.4』に関する3つの問題です。

2019年問題6 肢2 
 国籍法が血統主義を採用することには合理性があるが、日本国民との法律上の親 子関係の存否に加え、日本との密接な結びつきの指標として一定の要件を設け、こ れを満たす場合に限り出生後の国籍取得を認めるとする立法目的には、合理的な根拠がないため不合理な差別に当たる

これは、判決が合致しているか否かを問うオーソドックスな問題です。この判例は、2012年、13年と連続で出題されておりますが、実はまったく違った形で出題されております。長くなるので問題は記載しません。お手持ちの問題集でご確認ください。

2012年問題6:判例文を読み、この判例から読み取れない内容の選択肢を選ぶ問題。

2013年問題3:判例穴埋め問題。

以上の例から、過去問を完璧にしたからと言って、答えが導き出せるわけではないということはお分かりいただけたかと思います。

従って、過去問集は、その問われた「判例」を確認し、その出題方法を分析することに使うのが正しいやり方です。
それをやっていれば、仮に過去の出題と同じ問題が出でも対応できます。

では、判例の具体的な学習はどのようにしていけばよいのか?
それはまた次回掲載します。

憲法の体系的学習(過去問題集を使う)

 以前から書いている事なのですが、「過去問」は解く必要はありません。

 ただ、過去問学習は非常に重要です。

??と思われる方もおられるかもしれませんね。でも禅問答ではありありません。

  もちろん過去に問われた問題は100%正解をしなければならないのは言うまでもありません。

 まず過去問題集ですが、これはどこの出版社のものでも構まいません。
 ただ、年度別ではなく項目別の過去問題集を使ってください。(年度別のものの使い方は後日紹介します)

 ちなみに私が使用していたものはLEC「行政書士ウォーク問 過去問題集 法令編」です。

 具体的な使い方はと言いますと、過去問題集はテキスト知識を確認するための答練用として使うのではなく、騙し方を知るテキストとして使うということです。

 テキストには過去に問われた箇所を中心に条文や判例の説明が掲載されています。これは正しい知識を「覚える」ことに使います。

 しかしそれだけでは正答は導きだせません。

 資格資格にはそれぞれ問題のクセがあります。簿記やFPの試験は割と出題が素直なので、過去問3年分くらいを繰り返し解けば合格はできると思います。

 では行政書士試験はどうなのか…

 これは項目別の過去問題集を使えば直ぐに分かると思います。

  同じ論点で同じような問われ方をすることは皆無です。

  例えば憲法の人権分野で「外国人の指紋押捺制度の合憲性」を争った(最判平成7年12月15日)判例がありますが、この判例は2007年問6と2011年問3でそれぞれ出題されております。

  ただ、2007年は外国人の人権享有主体性を問う問題として出題されていますが、2011年の方は憲法13条の 包括的基本権(プライバシー権)についての問題となっております。

  他にもいろいろな問題で検証してみればわかること思いますが、上記の判例同様同じ論点で問われている問題はほぼないと言ってよいでしょう。

  つまり過去問を解きまくって正誤を覚えたところでまったく役には立たないということです。

 では過去問題集はどう使えばよいのか?
 
 それはただ解くのではなく、次の4つをチェックするのに使います。

①出題形式
②出題頻度
③出題されている条文や判例
④理解が必要か、または暗記が必要か

 その為に過去問題集は、必ずテキストと同時並行的に読み進めることが必要です。
 
 詐欺は騙し方の手口を知っていればひっかからないですよね。

 行政書士試験も騙し方のクセがあります。それは試験委員が毎年だいたい同じ顔触れだからです。
 ですからそのクセに慣れるための手段として過去問題集を有効的に使い倒してください。

 

憲法の体系学習(判例学習①)

 判例の学習でやってはいけない勉強法は、市販の判例集を先頭からただ読みすることです。
 このようなやり方では効率が悪く、時間を浪費するだけです。

 ではどのようにして判例を学習するのか?

 まず、判例はテキストの進捗に沿って、その条文ごとに学習していきます。

 使うのは「テキスト、択肢別過去問集、六法、判例まんが本」です。


 まず、判例学習の一例として「人権総論」の学習をあげ説明します。

 人権総論は憲法の人権分野全般に共通する項目を先に概論として学習するものです。
 
  長くなるので細部は省略しますが、この人権総論に「外国人の人権享有主体性」
という項目があります。

 要は憲法の謳う「人権」は外国人にも保障されるのかと言う論点なのですが、ここに様々な重要判例がでてきます。
 まずは、判例がどの分野で出てきた判例なのかをきちんと整理ことです。

 この分野の有名な判例の一つにマクリーン事件があります。

 この事件で問題となったものがなんであるのかをテキストで確認します。

 ちなみにこの事件で問題となったのは「外国人に政治活動の自由は保障されているか」という点です。

 次に「事件」「争点」「判旨」を確認します。
 ここで大事なことは、まずテキストレベルを完璧に抑え、手を拡げないことです。

 判例学習で判例集を使わなのはムダな知識を入れないためです。

  基本的な判例知識を押さえることが重要ですので、まずはテキストレベルを理解し、覚えることです。

  判例学習のポイント①は「情報量を必要最低限に減らす」

  テキストで「事件」「争点」「判旨」
が掲載されていない場合は「司法試験 完全整理択一六法 憲法」を使い、上記を調べます。この六法には条文ごとに判例の重要な部分を抜粋して掲載されているので、とても便利です。

 次に使うのが「択肢別過去集」です。

続きはまた後日。

憲法の体系学習(人権と統治)

 憲法学習で優先度が高い分野は第10条から第40条までの「人権」と第41条から第82条までの「統治」です。

 その他の「天皇」「財政」「改正」「最高法規」は出題があっても恐らく1題と思われます。
 必然的に後回しとなります。

 この学習の上で優先度の高い条文を大きく二つに分けます。

 分け方は以下の通りです。

①「人権」と「統治」の司法
②「統治」の国会、内閣

 この分け方の基準は「条文の知識と理解」で解ける問題かどうかということです。

 この①と②でまず先に手をつけるべきは
①です。

 なぜなら①は条文を単純に覚えて理解しても本試験問題は一つも解けないからです。

 ここで大事なことは条文知識はもちろん、条文の意味、背景、解釈、判例等を理解した上で正答を導き出す訓練(答練)をすることです。
 それにはテキスト、六法、判例集、過去問、問題集等の学習アイテムを適切に効率良く使う事が重要になってきます。

 この時点でこの学習アイテムうまく使えることが、その後に学ぶ行政法民法出来に深く関わってきます。

 このうまく使えるいわゆる体系的学習の根幹をなす部分です。

続きはまた後日!
 
プロフィール

mirai-houmu

職業:行政書士(H25合格)
資格:行政書士、FP2級・AFP(H26合格)
   ドローン検定1級(H27合格)
来年CFP(科目合格3/6)と測量士補の取得に向けて勉強中です!仕事に直結する資格しか取りません!
現在は行政書士とFPの事務所に加えドローンスクールで講師をしております。
業務:各種法人設立、小規模事業者の資金調達相談、ドローンビジネスに係る法務相談、民泊事業…etc

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